オキシトシンと愛着障害

オキシトシンと愛着障害

愛着障害の発症に深くかかわっているオキシトシンの働きについてまとめました。

オキシトシン分泌の低下が愛着障害を発生させる

催眠

オキシトシンというホルモンは、授乳や分娩に重要な働きをしているホルモンであり、乳汁分泌ホルモンなどと呼ばれてきました。このホルモンは男女ともにその情緒の安定に欠かせない必須のホルモンであることがわかってきたのは最近のことです。


幼児期に親に愛情深く接触され言葉をかけられ抱擁されることで、オキシトシンは子どもの脳内に分泌されます。接触している時間、かかわっている時間が長ければ長いほど多くのオキシトシンが分泌され、それを感受するための受容体も増加します。こうして育った子どもは成人後も恋愛関係や家族関係において、愛する相手との信頼関係を構築することができ、安定した人間関係を維持できるようになります。


この反対に、親の愛情的なかかわりの時間が少なくなればなるほど、オキシトシン分泌は低下し、受容体も増加しないままとなります。こうして育った子どもが愛着障害となるのです。「見捨てられ不安」「自己重要感の欠如」「否定的思考」などを特徴とする、愛着障害はこのようにして発生します。そして、この愛着障害の傾向のある人の何割かが、人格障害を発症するのです。境界性人格障害が増加している背景は、実は愛着障害の増加にあります。


また最近の研究によれば発達障害の傾向がある子どもが、愛着障害も伴うと、その症状が重篤になることもわかってきました。生まれながらの発達障害でも、愛着障害を予防することで、症状が軽度でおさまり、治癒していくケースもあることも判明してきたのです。このような事実を知ると、愛着障害の予防がいかに重要なことかわかります。そして、今、政府などが行っているゼロ歳児保育の促進や、一歳児、二歳児などを早期の保育所へ預けることが、


実はいかに危険なことであるかもわかるのです。母親との接触時間、愛情をもって育てられる時間が影響するのに、その貴重な時間を、母親以外の誰かに面倒を見させることは大きなリスクです。それは愛着障害になる子どもを確実に増やすことで、結果的に、人格障害を増加させ、発達障害は悪化させていることになるからです。もし、少子化対策をするのであれば政府は、むしろ、母親が子どもが三歳を超えるまで家庭でいっしょに暮らせる時間が長くとれるように、援助や支援をするべきなのです。


子どもを保育所に預けて母親はどんどん働けというのは、オキシトシンの働きを熟知すれば、絶対に言えないことです。日本において、人格障害や発達障害が増加している背景は、早期に子どもを保育所に預けることが大きな要因であることは間違いありません。愛着障害の改善に前世療法は大きな助けとなります。

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