スピリチュアルガイドについて

スピリチュアルガイドについて

前世療法でスピリチュアルガイドの導きを受けたいと考える人が増えているようですが正しく実態を理解しないとかえってマイナスとなります。

スピリチュアルガイドについての正しい認識を持つ

催眠

前世療法において出現する魂のガイド、スピリチュアルガイドについては、十年以上もその実態を分析し、調査してきて、精神世界の内奥について、一定の見識を得たので、巷の誤解を解くためにも、詳しく解き明かしておきたいと思います。


そもそも、スピリチュアルガイドと呼称する時には、クライアントが催眠状態の時に出現する、サブパーソナリティの一種であり、その意味では、ハイアーセルフやインナーチャイルドとも同列に考えることができる、というのが、催眠療法の世界から見た、理解の仕方です。そのため、その視点からだと、出現するあらゆるスピリチュアルガイドの伝える内容を肯定し、良い物、有難い物として、受け止める傾向があります。これは世間の多くの前世療法を行う、催眠療法家、特に、自身の経験のみに依拠するセラピストなどに多いあり方です。しかし、これはきわめて危険な理解の仕方なのです。


そういったセラピストは、せいぜいブライアン・ワイス博士の著書などを参考にして、浅く受け止めて、非常に浅い解釈でスピリチュアルガイドを認識し、取り扱っています。ですから、スピリチュアルガイドとして、亡くなった親が現れたり、先だった伴侶が現れたり、それから、高貴な祖霊が現れたり、天使や神様の一種が現れたりといったさまざまなケースもすべて同列に論じてしまっているのが現状です。しかし、実際にはそんな簡単なものではないというのが、わたしの見解です。本当の意味でのスピリチュアルガイドというものは、いかなるものか。


それは「守護霊」と定義されている存在です。守護霊とは、父方、母方をさかのぼって、おおよそ十代から二十代ぐらい前のご先祖であり、生前、きわめて徳の高い生き方をし、この世で慈善の業績を足跡として残された人物が、死後、天国界と呼ばれる霊界の高い次元に永住権を得て、生まれ変わりを卒業し、常住するようになった存在なのです。この守護霊というものが本当の意味でのスピリチュアルガイドであり、この時代の人類であれば、すべての人間に、守護霊というものがついていて、魂の成長を見守り、助けているのです。そして、これは人類が長い進化の末に、霊的世界もそれにあわせて進化し、天国界において、


統治機構が完成される中で、組織的に人間の世界に高級な祖霊が関与していく仕組みが出来上がったものなのです。したがって、猿や猫や犬には守護霊なる存在はありません。いうまでもないことですが、人間の前世が動物であろうはずはないのです。(動物の前世を思い出すことはありえるかを参照)


そして、この守護霊は、守護している人間の魂の向上、成長、進化に関して、それを促進し、本人の努力に対しての加護と応援を授けている存在なのです。ですから、生きる上での努力が足りない場合には、守護霊の応援も十分には授からないのです。また、催眠状態で前世まで体験するのは比較的容易ですが、守護霊に対面するのは容易ではありません。本人の意識のレベルや悟りがあるところまで上がらないと、このようなハイレベルな存在は来てくれないのです。さらに、その上の存在である守護神は守護霊を統括し、任命する高次の存在です。また、本人が信仰する仏様や龍神や天使が補足的に指導のために現れるケースもまれにあります。


これら真のスピリチュアルガイドに対して、例えば、亡くなってすぐの家族や知人などは、ほんとうの意味でのスピリチュアルガイドではありません。なぜならば、人間は死んだら、霊界に行って、その霊界での新しい暮らしや魂の修業が待っているからです。守護霊というのは、そういった修業がある程度のレベルを超えた存在であり、それゆえに後進を育成する、いわばライセンスを持っている存在なのです。ですから必ず大所高所から魂を導くのです。


守護霊は絶対に人間を支配したり、指図したり、あれこれ干渉したりの束縛はしません。それは禁止されている行為だからです。人間にとって自由意志にもとづく魂の進歩向上こそが生きる命題、天命であるからです。守護霊とはそれを守護するのが役目なのです。お告げや、日常的な霊言、霊聴、夢告、メッセージなどの不思議現象も行うことは皆無です。そういった形での人間界への干渉は禁止されているからです。


これに対して、いわばライセンスのないもぐりの自称守護霊となりうるのが、亡くなった親や伴侶です。「死んだおばあちゃんがスピリチュアルガイドです」「亡くなった夫がスピリチュアルガイドです」いうことはありえないのです。本物の守護霊のような高い悟りも見識もない、こうしたもぐりの守護霊につかれると、本来の守護霊の導きを阻害してしまうこともあり、かえってマイナスとなります。もし、亡くなった身近な人がスピリチュアルガイドになりすまして出て来たら、その霊には、


むしろ、霊界法則を諭して、自分の行くべき霊界に赴かせて、この世の未練や愛する家族への執着から、離れるよう、説得しなければならないのです。それらの霊がいかに愛を語ろうとも、それは、この世への執着心から、真の守護霊の邪魔をしているだけです。このような霊界の実態に無知なセラピストは、もぐりの守護霊をスピリチュアルガイドだと勘違いし、その存在との交流をありがたがって良い体験だと思い込んでいるのです。死者が前世療法の中で来てくれるケースはありますが、それは、顔を見せにきた程度のものであり、もし、その死者が「いつもそばにいるよ」とか、「ずっと導いているよ」などと言い出したら、それは危険なことなのです。


そうなると、これは憑依霊の一種という話になり、本人と真の守護霊のあいだに入って、さまざまな邪魔をしてしまう形になります。守護霊の導こうとする方向と逆の方向に導こうとしたりするケースもあります。その人の前世と今生と来世まで見通して大所高所から導く守護霊と違って、修業の至らない凡俗な身内の霊は、近視眼的な判断で導いてしまう者が多いのです。


こうした、ライセンスなしのスピリチュアルガイドには、人間は死んだら、まず三十年ぐらいは、この世と霊界の中間世界、つまり、バルド、あるいは、幽界、あるいは、アストラル界、あるいは、アメノヤチマタ(天の八街)などと古来、呼称されてきた、この世の垢を落とすための空間にまず赴き、そこでの暮らしを経て、その後に、本来のその霊の行くべき、霊界に行ってそこでの生活があるという真実、そして、多くの場合は二百年か三百年そこで暮らしたら、また生まれ変わり、次の転生をするのだと教えてあげないといけないのです。


生きている人間を守護するのは、守護霊の任務ですから、お任せをして、あなたは早く自分自身の修業にとりかかってくださいと説得するのが本来なすべき対処の仕方です。ちなみに仏事の三十三回忌というのは、この幽界での移行期間とみごとに重なっています。三十三回忌を経たら、いちおうの供養の仕上がりと日本仏教では考えているようですが、霊界の実態に即した取り決めであるといえるでしょう。ですから、身近な人やペットなどがスピリチュアルガイドになるはずもないのです。たとえ出会えても、単なる死者との交流に過ぎず、決して本当の意味でのスピリチュアルガイドの体験ではないのです。この実態を理解していないセラピストがあまりにも多いです。


拙著『魂の黄金法則』では、守護霊について若干の解説を記載していますが、霊界の実相を知れば知るほど、スピリチュアルガイドの扱いには、深い知識と経験が不可欠だとわかってくるのです。たとえば、出現するものとしては、ほかに精霊や超自然的な生物も含まれます。これらの実態も多くはマイナスの側の存在が人間を化かしている場合が非常に多いのです。ハグレ眷属という存在もあります。神のお使いであったものが、その管轄下を離れ、人間界に勝手な干渉をし始めるようになったものです。


こうした存在と不用意にかかわると、激しい祟りをもたらし、さまざまな不幸や不運を招く一因となりえます。霊界知識を持たず、不思議だ不思議だとありがたがっていることはきわめて危険であることを知っておく必要があります。いずれにしましても、古今東西の文献や先達の残された知見を広く研鑽しながらも、霊界の実態を見極める目をもって調べて行かないと、スピリチュアルガイドとのかかわりはかえってマイナスとなるのです。

セラピー
久保征章の著書