霊界は実在するのか?

霊界は実在するのか?

霊界は存在するのか、という議論についてはさまざまな角度から論争がなされてきましたが現在も科学でそれを証明するには至っていません。

霊界の存在についてどう解釈すればいいか

催眠

前世療法では、生まれ変わりという概念を肯定的にとらえていますが、生まれ変わりを考えると、当然のこととして、生と生の中間世界、つまり、あの世の世界についても考える必要が出てきます。


こうした、いわゆる霊界という世界については科学的に証明はできず、宗教の扱う世界になってしまいます。前世療法は、宗教ではありませんが、多分に宗教的側面も含んでいるのはこうしたところからです。ここでは証明できないものを証明しようとするよりも、歴史上に残っている興味深い文献をとりあげてみましょう。「死後世界地図」という本があります。日本での出版名は「誰も書けなかった死後世界地図」という題名です。これは、A. ファーニスによって書かれた本であり、原作は、『スピリットランド』(A.ファーニス著)です。


心の中身が死後の世界を決めることや、どんな人が死後、地獄の存在になり、どうすれば天国へ到る道に入るのか、一度死んであの世から戻ってきたヨーロッパの貴族フランチェッツォの霊によって語られる死後世界の地図としてまとめられた心霊学の古典書です。日本のスピリチュアルカウンセラーと称する人の語っている中身は、すべてこの百年も前の文献を種本にしているのです。昨今の新興宗教の多くも、こうした古典書を種本にして、教義を構成しているものと考えられます。この本を読めば、死後、肉体は滅んでも魂は永遠であり自分の生きていたときと同じ想念の世界に行くということがわかります。


ケチな人はケチな人ばかりが集まる霊界に死後に行き、自己中心な人は自己中心な人ばかりが集まる霊界にいき、慈悲や愛に満ちた人は同じような人が集まる霊界に行くのです。こうして天国、地獄そしてその中間の世界が無数に生み出されるのです。死んでから霊界へ行ったイタリア貴族の霊が語る形式ですが、霊界の諸相がよくわかります。死後、最初に低い世界に落ちてしまい、そこから悟り、様々な体験をして、霊層が向上して、上層の霊界へ登っていく物語になっているので、初めてこうした本に触れる人でも理解しやすい作りになっています。


100年前のイギリスでベストセラーになったスピリチュアルの古典なので、死後の霊界について理解を深めたい人は読んでおくほうがいいでしょう。そうすれば、今の時代に説かれている死後の霊界法則に関するものがほとんどこれらの古典の焼き直しに過ぎないことがわかります。死後、地獄において、自分の身に起こることはすべて、その人自身の邪悪な人生の結果です。この世で邪悪な犯罪を繰り返す人は死後、地獄界にて苦しむことになります。


この世での試練は、前世の自分に由来するものです。今の自分がどのような生き方をするのも自由ですが、美徳ある生き方、愛と真心のある生き方をしたほうが死後の世界でも来世生まれ変わってからでも幸せになれることは間違いありません。この宇宙の法則では正直者が必ず得をするようになっているということがわかるのです。


プラトンも死後世界を説いています。プラトンの著作の中にも人間の魂が死後に行く世界のことが書かれています。そして、守護霊が守っているという話も出てきます。人間が生まれ変わることや因果応報の法則があることはギリシャ文明のころからわかっていたことなのです。それが、キリスト教が出た後、教会による教義の編集によって輪廻転生の部分や因果応報の部分が削除されてしまい、イエスの教えがゆがめられたのです。


このことは、エドガー・ケイシーのリーディングでも言及されています。キリスト教徒の人は、イエスの説いた本当の教えを学ぶことです。そこには、因果応報も、輪廻転生も語られていたのです。後世のキリスト教会がその教えをゆがめてしまったのです。人間は、死後、生きていたときの想念のとおりの世界に行きます。
死後、愛と真心のある人は天国に近い世界に行きます。自己中心でわがままな人は、地獄に近い世界に行きます。生きている時の心のあり方で決まるのです。


どのような悪事も、この世では逃げおおせても、あの世では隠しとおせません。なぜならば、あの世では、自分の心の本性がすべて明らかにされ、善と真実と愛にどれだけ満ちているかで、魂の価値が決まるからです。その心に善がなく、真実がなく、愛がない者は、その同類が集まる地獄界に落ちていきます。死後、その世界に落ちると、なかなか出てくることはできません。苦しみと葛藤と争いの中で呻吟している状態のまま何百年も経過していきます。


このような苦しみを受けてもそれで終わるわけではなく、生まれ変わる時期が来ると、今度は、生前に犯した悪事を自分自身が被害者となって体験しなければならない人生のシナリオを与えられ環境を決められ生まれ変わります。そして、苦難の人生を送りながら、罪を償い、あがないをするのです。このように生きている人間が体験する苦難のほとんどは前世の自分のしたことの結果です。これが因果応報の法則です。


一方、生きている時に、人を助け、親切にし、善の心で愛の実践を重ねた人は死後、その心のままに愛と善に満ちた世界つまり天国に近い世界にいくのです。そして、ほんとうの天国にまでいくと、生まれ変わる修行から卒業することも多いのです。ほとんどの人間は死後、天国でも地獄でもない、その中間世界にいきます。この霊界はたいへん広大で無数の世界に分かれていますが、その区別はすべて、その霊がどれほど愛、善、真に目覚めているかの度合いによっているのです。


天国に近ければ近いほど、すばらしい環境の世界であり、この世の高級リゾートのような世界と毎日の暮らしがそこに広がっています。また地獄に近ければ近いほど、肉体労働やスラム街などの雑然とした汚泥に満ちた世界になっています。このような霊界の仕組みを悟れば、日常生活をいかに正すべきか、私たちは理解することができるのです。100年前の古典の説く、霊界法則を理解すれば、今の自分たちの生き方の指針が定まります。

セラピー

久保征章の著書