消費税が10パーセントになって日本はどうなるのか

読売新聞の子供版である「読売KODOMO新聞」の2019年9月26日号には、消費税増税についてこのように説明されていました。「30年前に始まった消費税がアップするのは今回が三回目。税率アップで増えた分の税金は、お年寄りの年金や子育て支援といった社会保障を充実させるのに使われます。」ところがこれは、事実に反する内容です。実際には消費税増税で得られるお金の半分以上は、国債の負債の返済に使われるのです。つまり、そのお金は消えてなくなるお金ということになります。さらに同新聞は消費税増税をしなければならない理由を以下のように説きます。「なぜ、消費税をアップするのでしょうか?一番の理由は、『国にお金がない』ことです。2019年度の国の予算を見てみましょう。国が一年間で使うお金は全部で101兆円です。でも、税金によって集められる分だけでは全然足りません。このため32兆円(歳入の32%)も借金をしています。国の借金は年々増えていて、今ではおよそ1100兆円もあります。」


この説明は嘘に嘘を重ねた内容であり、子供達がこれを読んで間違った理解を持つことが憂慮されます。増税の理由は国にお金がないことというのがまず大嘘です。日本は、アメリカやイギリスやオーストラリアと同じく、「自国通貨発行権」を持つ国です。つまり、自国通貨を必要に応じて、自由に発行できるのが日本の国です。お金がなければ、通貨発行して使えばすぐに解決する話です。現に、毎年、10億円ぐらいのコインを日本政府は発行しています。500円玉などのコインのことです。これは、まさに無から有を生むように、政府が自由に生み出せるお金なのです。どこかからの負債でさえありません。今は年間10億円で抑えていますが、必要に応じてこれを10兆円にしても何の問題もないのです。日本政府が10兆円と刻まれたコインを一枚新たに作り、日本銀行に持参し、渡せば、日本銀行にある日本政府の預金残高に10兆円が加算されるだけです。消費税を増税する前にまずこれをやらねばならないはずです。


次のウソは、「国の借金は年々増えていて、今では1100兆円」のくだりです。そもそも、「国の借金」という言葉は読み手を錯覚させるマジックワードです。例えばギリシャは、国の借金で破産しましたが、ギリシャはまさに、EUから借りたお金が返せずに破綻したのです。ギリシャはEUに所属し、EUからお金を借りていました。また、自国通貨発行権がない国なので、自分でお金を生み出せなかったのです。ところが、日本は違います。日本の国がどこかの国からお金を借りているわけではありません。国の借金とは、正しくは「政府の負債」のことであり、その政府にお金を貸しているのは、実は日本国民なのです。すなわち、「政府の負債」とは「国民の資産」なのです。なぜならば国債のほとんどは日本国民が購入しているからです。さらに、前述のとおり、日本は通貨発行権を持つ国なので、政府が国民にお金を返そうと思えば、いくらでもお金を発行して返せるのです。そもそも、生きている人間は死にますが、国の政府は理屈上は死にません。個人がお金を借りたら、自分が死ぬまでにそれを返す必要がありますが、国の政府が国民から借りたお金を返すのは、政府が死なないので期限もないのです。そのうえ、通貨を発行していつでも返せるのです。


そして「1100兆円の借金」というのも嘘です。日本政府が発行した国債の残高は、1100兆円になるのは事実ですが、その四割ほどは、日銀がすでに買い取ってしまっています。銀行が持っていた国債を日銀が買い取ったのです。これはすなわち、通貨を発行して、国債を返済したのと同じことになります。なぜならば、日本政府と日銀は、親会社と子会社の関係であり、連結決算すれば統合政府としては、買い取った国債は消滅したに等しいからです。すでに政府の負債はどんどん減少していっているということになり、消費税の増税の必要性がまったくありません。このような事実を明らかにした経済理論が、「現代貨幣理論」(MMT)です。アメリカの経済学者が提唱しているもので、ステファニー・ケルトン教授(ニューヨーク州立大学)や、L・ランダル・レイ教授(経済学者、ニューヨークのバード大学教授兼レヴィ経済研究所上級研究員)といった専門家が有名です。「政府の負債」とは、「国民の資産」であること。「自国通貨発行権のある国が自国通貨での国債をどれだけ発行しても財政破綻することはありえないこと」などを明らかにしました。


そして、今の日本のようにデフレ経済の状態にある国では、デフレを解消するために、まず政府が財政出動をして、お金を使わねばならないのです。もし、政府がお金を使わないならば、国民社会の中にまくばられるお金は不足しますから、デフレが進み、国民は貧困化します。平成の三十年間はまさにこの悪循環が進行して、国民の実質賃金が下がり続けてきました。ですから、政府がやるべきことは、増税ではなく、減税であり、さらには、毎年20兆円ぐらいずつ財政出動を行うべきなのです。そのお金を、子育て支援や高齢者問題や防災インフラや医療費、介護費、教育・科学関連の財源にすればそれでよいのです。消費税を増税している場合ではないのです。台風や地震で電気が止まったりする被害が全国で増えているのも、電気や交通などのインフラ設備がどんどん老朽化して弱くなっているからです。これらを新たに作り直し、電柱を地中に埋めて安全にしたり、東京一極集中の状態を緩和するためにも、全国への新幹線網の拡充、道路の四車線化、廃止されそうになっているバスや電車の路線の国有化による維持で、生活圏を守るべきところです。


財政出動を無限にやればよいというのではないのです。今はデフレなので、デフレが解消され、インフレ率が3パーセント程度に戻るまで続けていけば、経済は自分の力で回復できる状態になってくるのです。そうなってから出費を減らし増税をすれば調整がつくのです。今は増税ではなく減税すべき時なのです。まず、国がお金を使って、仕事や需要を増やすのです。そうすれば、国民の収入が増えて結果的に税収も増えるのです。政府には、通貨を発行したり、国債を発行したりする形で自由にお金を生み出す権能があります。それを使えばよいだけです。今のような緊縮財政路線は、財務省の主導によるものであることがわかっています。まちがった政策を強いる財務省を改革できる政治家の登場が望まれるところです。日本には、メガトン級タンカーが入港できる港がないので、メガトン級タンカーはすべて台湾の高雄や韓国の釜山に停泊し、小型タンカーに積み替えて日本の港に来ます。どうして日本にメガトン級タンカーの入港できる大型港湾を作らないのか。それは緊縮財政のためです。防衛予算も5兆円しかないのも緊縮財政のせいです。中国はその四倍以上の予算で軍拡しているのにです。これで国防がまっとうできるのでしょうか。岩手の国際リニアコライダー開発研究も緊縮財政のせいで止まっています。科学技術予算も先進国で最低ランクになりました。農業への国の補助金も実は先進国では最も少ないので日本の農業は危機的状況です。また公務員の数も先進国で最も少ないので公共サービスが低下しつつあるのです。すべて国にお金がないというデマが原因でこのようになったのです。


今回のお話は、下記の漫画を読むととても分かりやすく学べます。

マンガでわかるこんなに危ない! ?消費増税


また、MMT(現代貨幣理論)については下記の本が経済に詳しくない人にもわかりやすく書かれています。

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】




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